2023年製 VOXY ハイブリッド S-Z 走行4万km・車検受けたて
成約価格:350万円(陸送費・税金は買取業者負担)
前回の記事で「だるそうな査定担当者が来たら、どんな顔をするか楽しみや」と書いた。結果から言う。担当者は手のひらを返した。そして俺は、1万円を捨てて、一生モノの何かを手に入れた。
「他社さんはいくらでした?」と探り合い、1万円ずつ積み上げる不毛な競り合い。これが一括査定の「標準(スタンダード)」になってる。
CPA受験生として言えば、これは「情報の非対称性」が生み出す市場の歪みや。売り手(俺)は他社の数字を知ってて、買い手(業者)は知らない。この非対称性を利用して価格を吊り上げるのが、業界の「最適戦略」になってしまってる。
N社の担当者がそう苦笑いした時、俺はこの業界の構造的問題を「身をもって監査」した気分やった。
N社が最初から俺の強気な350万円を一発提示してきた時点で、俺の中に「治療的同盟(ラポール)」が形成された。駆け引きなしで「適正時価」を認めてくれた誠実さへの敬意や。
次に来たW社。一言目に「N社さんはいくらでした?」と聞いてきた。俺はあえてこう答えた。
これは嘘やった。でも俺にとって、これは「倫理的な嘘」やった。N社の誠実な提示を守るための、最低限の「情報管理」や。
希望額を370万円と告げると、W社は「335万円以上は固い」と消極的な数字を出してきた。「N社はそれより全然上や」と伝えると、慌てて340万円を提示してきた——これが「後出しジャンケン」の典型的な動きやねん。
ここで俺は、N社の350万円を明かした上で、最後の一線を引いた。
誠実な「適正時価」
「業界標準」の動き
もし俺が「N社は350万やから351万にしてや」とW社に持ちかければ、1万円多く手に入ったかもしれへん。でも、その1万円と引き換えに、俺は「最初に自分を評価してくれた人を大切にする」という自分自身の価値(のれん)を毀損することになる。
俺が今回守ったのは、他人から見えへん「自分自身へののれん」やねん。
これは税金もかからへんし、減価償却もせえへん。一生モノの純資産や。
今回の体験で、俺が一番考えさせられたのはここやねん。
N社の担当者は「一社目は不利」と言ってた。誠実に一発提示した業者が、後出し業者に1万円で負けてしまう——この構造が変わらへん限り、業界全体が「情報操作」に最適化されていく。
PTとして言えば、これは「正しいリハビリをした治療士が評価されず、患者に媚びた治療士が人気を得る」という構造と似てる。短期的な「患者の満足」と長期的な「患者の回復」が一致せえへん時、誠実さが報われへん市場ができてしまう。
「誠実な一発提示が報われた」という事実が一つ積み重なった。
市場は、個々の選択の集積や。「どういう業者を選ぶか」という消費者の判断が、業界の文化をゆっくりと変えていく。
これが俺の「アニマル・スピリット」の使い方やねん。
リハビリも同じや。技術が完璧でも、信頼関係(ラポール)が崩れたら治療は進まへん。
会計も同じや。数字の帳尻を合わせても、倫理観が欠如したらその企業の価値はゼロや。
俺は今回、目先の「1万円のキャッシュ」を捨てて、一生モノの「自分への信頼という名の純資産」を買った。
これで、ヴォクシーはトレイルシーカーへのチケットになった。次のステージへ、行くで。
「自分の値段」を決めた瞬間でもあった。
ヴォクシー、ありがとう。よう走ってくれた。
トレイルシーカー、待っとけよ。
明日を俺の力で(Asuore)